オレンジ・ドロップ

 一つの視線を感じる

 それに気がつかない振りをする私

 紀ちゃん、凛ちゃん、エンちゃんと他愛もない話で盛り上がる

 というより、盛り上がる事によって感じる視線を消そうとしていた……かな?

 この三人は、恵ちゃん達の様に、好きな人……といった話は全くと言っていいほど出てこない。

 今の私にはありがたい

 彼女達は皆、優秀組みだから半分は勉強の話が多いかな?

 劣等組みの私には新鮮な感じ



 「サヤ、槙村くん……サヤと話したいんじゃない?」

 耳打ち際に紀ちゃん


 「なんで?」


 「さっきからこっちを見ているような気がしてさ」
 どうやら、視線を感じていたのは私だけではなかったようだ


 「気のせいじゃない?」
 気のせいなんかじゃないのは分かってたけど、私は話したくはないし。

  電話では散々勝手に喋っていたのに、今更でしょ?

  用があるなら来れば?

 来た所で私の返事は変わらないのだけれど

 彼女は、それ以上槙村の事を口にする事は無かった

 今日、紀ちゃん達がいてくれて良かったとつくづく思う




< 211 / 378 >

この作品をシェア

pagetop