オレンジ・ドロップ
一つの視線を感じる
それに気がつかない振りをする私
紀ちゃん、凛ちゃん、エンちゃんと他愛もない話で盛り上がる
というより、盛り上がる事によって感じる視線を消そうとしていた……かな?
この三人は、恵ちゃん達の様に、好きな人……といった話は全くと言っていいほど出てこない。
今の私にはありがたい
彼女達は皆、優秀組みだから半分は勉強の話が多いかな?
劣等組みの私には新鮮な感じ
「サヤ、槙村くん……サヤと話したいんじゃない?」
耳打ち際に紀ちゃん
「なんで?」
「さっきからこっちを見ているような気がしてさ」
どうやら、視線を感じていたのは私だけではなかったようだ
「気のせいじゃない?」
気のせいなんかじゃないのは分かってたけど、私は話したくはないし。
電話では散々勝手に喋っていたのに、今更でしょ?
用があるなら来れば?
来た所で私の返事は変わらないのだけれど
彼女は、それ以上槙村の事を口にする事は無かった
今日、紀ちゃん達がいてくれて良かったとつくづく思う