オレンジ・ドロップ
合唱部
―― 6月半ば
合唱部の練習を終え帰り支度を整えている
「カッパちゃん、誕生日いつ?」
ミカオ先輩
彼女の本名は“岸村 美香子”
男勝りの性格をしているので皆がこう呼んでいる
そして、カッパちゃんとは私の事
彼女だけにそう呼ばれることを許した私
前に、オカッパ頭が風でグシャグシャになったのをみて「カッパみたいね」
といったのが事の始まり
「あっ、今日です」
「えっ!? 今日? 何で言ってくんなかったのよ~?」
「今まで聞かれなかったし……」
「ま、いいわ。おめでとう♪」
「ありがとうございます」
「じゃ、お祝いしなくちゃね?」
「そんな、いいですよ。今の言葉だけで十分です」
「いいから、いいから♪ 付いて来な☆」
言われるがままにカバンを持つと、後ろから声が飛んできた。
「いいなぁ、先輩私たちも連れて行ってくださいよ」
「何言っているの? 今日はカッパちゃんのためのお祝いなんだから、また今度ね♪」
私とミカオ先輩は、みんなの野次を背に音楽室を後にした