オレンジ・ドロップ
― 9月半ば
夏休み明け小テスト、中間テストも無事終わる
いつものようにステージの上で練習中
珍しくシュンチくんがやってくる
山上先生の下の名前が“駿一”なので皆そう呼んでるの
「どうだ? 捗ってるか?」
稽古が中断する
「あれ? 先生どうしたんですか? 練習見に来るなんて珍しいですね」
エビちゃん先輩
「オレは顧問だぞ? 練習見に来て何が悪い(笑)」
顧問なのに練習の様子を除きに来る事なんて殆どないの
「そういえば、顧問だっけ?」
有希先輩
先輩の言葉で、舞台の上は大爆笑の渦
「あのなぁ……。まぁ、いい。たまには息抜きも必要だぞ
今度の日曜日みんな予定は入ってないか?」
「何かあるんですか?」
桃先輩
「船乗りに行かないか?」
「「行く~~~~!」」
先輩方全員でハモっていた
「よし、決まり! じゃ、am10:00に市川駅集合! お前ら、そんなに根詰めるなよ? 根詰めたってそう変わらないぞ」
「酷~~い」
先輩が返す言葉には答えず、ステージに背を向け体育館の入口に向かう
船?
何のこと?
一年生、全員キョトンとしてる
「先生ね、クルーザー持ってるんだよ。それに乗りに行こうって♪」
私たちをみて先輩が教えてくれた
別荘の次はクルーザー?
お金持ちっているのね?
改めて思う