オレンジ・ドロップ
茶化すわけでもなく唯、黙って聞いてくれた
こんなに親身に聞いてくれるのなら
もっと速く話せば良かったなぁ
「でもさ、それじゃサヤ前に進めないんじゃない?」
「そうかも……」
「それでいいの?」
「分からない」
私が想っているだけで、アイツの心の内は知らないし
「誰か紹介してあげようか?」
「ありがと。でも、今はいい。」
「……今日、カラオケに行くけど一緒に来ない?」
しばらくして、瑠香さんが口を開いた
「今日は、部活あるし……ごめん」
部活なんて無かったけど、何となく誘いに応じる気になれなかった
「マジメだね~。たまにはサボっちゃえばいいのに?」
彼女は苦笑交じりに答えた
「マジメじゃないけど……また今度ね」
「わかったよ~」
だけど、彼女が今後誘ってくれる事は無かった
瑠香さんが言うように前に進まなきゃいけないのかなぁ?
だからって、今すぐ彼氏が欲しいなんて想った事ないしなぁ
多分それは、部活が楽しかったからなのかもしれない
それに今は憧れのスミレ先輩一筋だしね