オレンジ・ドロップ

 先輩たちがドアに背を向け始めた時

 何かを思い出したようにスミレ先輩がヒョッコリ顔を覗かせ、入口近くに座っている私に言った


 「そうそう、ミッキーの“おめでとう”の言葉すごく心に届いたよ。いっぱい練習したんだね」

 スミレ先輩


  ちゃんと伝わったんだ

 「ありがとうございます……いっぱい練習……しました」


 笑顔で言うつもりだったに

 涙が零れて来た


 「もう……泣かないの!こっちまで寂しくなるでしょ?」


 「……すみません」


 「ほら、笑って。」

 言いながら、私のホッペをムニムニする


 「先輩、今までありがとうございました」


 涙を奥に引っ込め頑張って笑顔を作る

 そうだよね

 永遠の別れじゃないんだもん

 笑顔で、卒業を見送らなくちゃね


「「じゃ、みんな元気でね~」」


 先輩達 戸口から姿を消す




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