オレンジ・ドロップ
再会
1988年
春休みを終え学年も一つ上がった中学3年
今日は始業式
皆はもう、グラウンドに列になって並んでいる。
私も少し遅れてグラウンドへ足を運ぶ。
「サヤ~!こっち、こっち同じクラスだよ♪」
誰かが私を呼んだ
私の名前は“佐山 紋子(さやま あやこ)”
昔から名字の頭文字で呼ばれてるの。
「本当? 良かった~」
家も近所で仲良しの紀ちゃんこと里崎 紀(さとざき のり)
「サヤ~、戻ってきたんだね」
また別の子
「うん♪」
「お帰り~」
「ただいま」
様々な嬉しい声が飛び交ってくる。
そう、私は春休みに引っ越してきたばかりの、転校生なのです。
担任らしき先生がやってきた。
「ハイそこ、列を乱さないようにね」
私もクラス名簿に従って3年3組の列の一番後ろに並んだ。