▼やまだものがたり
▼2.翌日のやまだ
新学期はパタパタとして忙しく、すぐに授業が始まるわけでもない。
新入生歓迎会、勉強ガイダンス、部活紹介、LHR...友達作りをする暇もなく時間が過ぎていく。...いや、友達作りをする時間がないのはどうやら私だけのようだ。
どの時間も基本的に名前順で並ぶため、私の周りには男子が多い。しかも私の隣、または後ろの席になるのは...
『ウメ、この漢字、なんて読むの?』
そう、コイツ、山田春人である。
「...」
『え、何、シカト?!ハルくんショックだよ?!』
何かとやかましいコイツは、イケメンだのなんだのと、女子の間では大人気。誰とでも仲良くなれる性格であるため、男子からも好かれている。
『すごまじい?すごまじいでいいの?』
「すさまじい。」
『え、何それ予想外すぎるわー。』
今朝からずっとこの調子で話しかけてくる。お陰で女子からの視線がとても痛い。これも友達ができない理由の1つ、いや、これが友達ができない理由なのだろう。
昨日ナンパ野郎なんかについて行ったから...あの時きちんと先輩ではないということを訂正しておけば...いや、訂正していたってこの現状は何も変わらなかっただろう。くっそあのナンパ野郎!!ついていった私もバカ野郎だ!!
いろいろ考えていくうちに、もう私が山田じゃなければよかったのに、という結論に陥った。