▼やまだものがたり
 
最初にHRのようなものを行ってから入学式に移動するらしく、教室の席はだんだんと埋められていった。

前の席も隣の席も男の子か…


中学時代あまり男の子と接したことがなかった私は、中々周りに話し掛けることができず、だからと言って席を立つ気にもなれなくて、ただただ周りを見ているだけだった。


後ろの席は女の子だといいなー。

そんなことを思っていたらチャイムが鳴り、担任の先生であろう人が教室に入ってきた。


〔1年B組の皆、初めまして。入学おめでとう。私の名前は…〕

『っぎ、ギリギリセーーーフ!?!?』



先生が淡々と話していると、後ろのドアがガラガラッと勢いよく開き、賑やかな男子が入ってきた。
この教室で空いてる席は私の後ろしかなかったので彼がきっとこの席に座るのだなとすぐわかった。



〔ハルー!〕〔ハルおせーよ相変わらずだなー〕

〔え、あれがハルくん!?〕〔あーあの噂の?〕

〔あの人かっこよくなーい?〕



急にクラスがざわめき始めた。
ゆ、有名人、なの?
確かに顔は整ってて背も180センチくらいあってとてもかっこいい。


〔はいはい静かにしなさーい。あなたは早く席について。とりあえず出席をとっていきます、相澤さん、……〕



遅刻してきた彼はへらへら笑いながら私の後ろの席についた。
女子の視線は窓際に注がれていて私まで見られている気分でなんだか恥ずかしかった。
 
< 5 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop