▼やまだものがたり
あー後ろも男の子だったか。しかもなんか有名人みたいな人だし。
このへんで有名な人なのかなー。私ここ地元じゃないからなー。
あー私友達作れるのかなー。
そんなことを思っていたら、もうすぐ私の名前が呼ばれるときになっていた。
〔…、…松村くん、…山田さん〕
「ぁ、は『はいはーい!!』」
…え、え!?
あ、あれ今私の名前が呼ばれるはずだったよね、あれ?え?てか呼ばれてたよね!?
一瞬何があったのかよくわからなかったが、どうやら私が呼ばれて返事をしようとしたら後ろのかっこいい人が返事をしたみたいだ。
〔…あ、あーこのクラスは山田が二人いるのね。ごめんなさいね今のは山田小梅さんです。〕
『…あっれー、やっちゃった感じ!?ごめんごめん!!(笑)』
〔ハル何やらかしてんだよー山田さん困ってんだろー〕
『いやいや、だって?俺も?山田だし?(笑)』
〔はいはいうるさいですよ!では気を取り直して、山田小梅さん。〕
「…ぁ、は、はい」
後ろの彼も山田っていうのか。
だとしてもなんとなくわかるでしょ…しかもなんでそんな声おっきいの……なんなんだこの人
別にそんなに嫌なことをされたわけでもなかったが、私は彼のことがなんとなく苦手な人物だろうなーと感じた。
〔山田春人くん〕
『あ、次こそ俺ねー。はーい山田春人です!山田だとややこしいからハルって呼んでね皆ー!』
〔はいはい自己紹介はまた時間をとるので静かにしてね。〕
『あっははーサーセン』
彼の中学のときの友達であろう人は〔ハルうるせえぞ〕と騒ぎ、女子たちはキャハキャハ笑いながら〔かっこいいー〕と騒ぎ始めた。
視線はまた窓際に集まる。
私はまた、自分が見られているわけではないのに恥ずかしくなり、思わず窓の外に目を向けてしまった。