私の唇はキス魔に持って行かれました

「はぁ…癒された…満足」

「よかったね…」


閉園時間になり帰りの電車の中
ペンギン見れて満足の私と
少しくたびれた様に見える霧夜くん

…あれ?
そーいえば、ペンギンに興奮し過ぎて忘れてたんだけど…


「…もしかして、見たい動物とかいた?だったらごめんなさい。振り回しちゃったよね…?」


園内で主導権を握ってたのは私だったもんね…
霧夜くんは私の後を黙って付いて来てくれたから


「大丈夫。見たいもの見れたから」

「え?」


凄く嬉しそうに笑う霧夜くん
一体、どの動物が見たかったんだろう?
適当に見てた中にいたのかな?

ペンギン以外は結構あっさり見ただけだったよね?
それで満足できたのかな?

頭を捻っていると霧夜くんが私を見て笑った


「奈乃の笑顔が見たかったんだ」

「ぇ…?」

「…見れたから満足」


私の笑顔が見たかった?

…そっか、そーいえば霧夜くんに対して笑顔を向けたこと無かったね
いつも敵意むき出しだったし

仕方がない…
ペンギン見せてくれたし、たまには素直に笑ってあげよう


そう、思った一日だった




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