私の唇はキス魔に持って行かれました


side:霧夜


「ただいまー」


意気揚々と帰ってきたのはサボり魔の学だった


「…おじさんに言いつけてやる」

「そ、それだけは勘弁して…」


この海の家は俺の叔父のモノ
要するに学のお父さんのモノ

夏になると学が雇われ店長みたいな感じで店を開く

俺は、叔父さんに頼まれてバイトとして働いている
学だけじゃ心配なんだそうだ…


「次、店を抜け出したらその場でおじさん呼ぶから」

「………はい」


よし、これでしばらくは大人しく働くだろう


「あれ?奈乃ちゃんは?」


キョロキョロしながら奈乃を探す学

奈乃なら外に居るでしょ?


「接客してんじゃないの?」


そう思って店頭に出る
でも、そこに奈乃の姿はなかった

さっきまで居たのに…
トイレか?


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