私の唇はキス魔に持って行かれました

お弁当を持って宛もなく歩く

あ、未緒に黙って出てきちゃった…
怒ってるかもなぁ…
でも、戻りたくないしなぁ…


「ココでいっか」


なんとなくたどり着いた場所は美術室

早速中に入ってお弁当を広げる
そして、石膏像に見つめられながらの食事を開始する


「静かな美術室で石像とご飯…片や超絶美人な婚約者とご飯…世の中って不公平だと思うの…どう思う?石像さん」


もちろん答えは返って来ない
だって、石像だし…

喋ったら怖いし…


「結局、キスに意味なんてなかったんだ…」


きっと、彼の気まぐれ
もしくは、彼女の身代わり


「私のファーストキスを返せ…馬鹿野郎…」


やっぱり、霧夜くんはただのキス魔最低野郎だ…
乙女の敵だ…

でも…


「大好きだ…馬鹿野郎っ…」


私の涙を含んだ声が美術室に静かに響いた


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