私の唇はキス魔に持って行かれました
side:霧夜
「霧夜ー、はい、あーん」
隣で龍宮が弁当のウインナーを差し出してくる
現在俺は屋上で昼食中
強引に龍宮に連れて来られた
俺は奈乃と話がしたかったのに…
「…おまえ、まじで何なの?」
俺、お前との婚約認めた記憶ないよ?
確かに、小さい頃に親が酒のノリで"婚約者"にした
でも、俺は拒否した
親もそれは知ってるはずだよ?
「私はそんなの認めない。霧夜は私のモノよ」
昔からだ…
昔から龍宮はこんな感じだ
自分の思い通りにならないと気がすまない
我が儘お嬢様だ…
「キスだってしたわ」
それは、お前が一方的に俺の唇を奪ったんだろ?
しかも、ベロッベロの濃いやつを…
お前のせいで、キスのイメージ最悪
お陰で、彼女なんか作る気にもなれなかった
…奈乃を見つけるまではね