私の唇はキス魔に持って行かれました

気持ち悪い
本当に吐きそうだ…

トイレを目指してノロノロ歩く

でも、俺はある場所で動きを止めた
そこは、美術室…

少し開いた扉から彼女が見えた
俺は、そっと扉を開けた


「奈乃…」

「?!」


俺が声を掛けるとビクッと反応して振り向いた
その目は、少しだけ潤んでいた

…もしかして泣いたの?
俺に婚約者が居たから?
だから、悲しんだの?

っと、思ってしまうのは…自惚れ過ぎ?


「ぁ、えっと…こんな所に居ていいの?龍宮さんと一緒に居なくていいの?」


"龍宮"っという言葉にさっきの出来事を思い出す
気持ち悪い感触…
嫌悪感…


「奈乃…ごめん」

「…え?」


ごめん、俺、無理



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