私の唇はキス魔に持って行かれました

「"あー白雪姫…あんなにいい子だったのに"」


小人役の一人が眠る私の傍らで嘆き悲しむ演技をする


「"これは…なんてゆうことだ!"」


そこに現れたのは王子姿の未緒
残念ながら目を閉じてる私にはその姿は見えない


「"探し求めていた君がこんなことに…"」


未緒王子の気配が私の傍らに近づく


「"あぁ、美しい愛しき人…最後にお別れをさせてくれ"」


未緒の手が私の頬に触れる
そして、衣擦れ音がして…ほっぺに柔らかい感触がした

これが目を覚ます合図


「"あら…?私は一体…"」


そう言って目を開けると
目の前にはカッコいい未緒王子様が…


「"奇跡だー!"」
「"よかった、白雪姫!"」


小人達が喜ぶ歓声の中
未緒が私を抱き上げて抱き締める

そして、ナレーション…


「"王子の愛の口付けによって目覚めた白雪姫は、その後、王子様と末長く幸せに暮らしました…おわり"」


そして、未緒と抱き合ったまま幕が降りていった

< 82 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop