私の唇はキス魔に持って行かれました

そろそろ後半の最終公演が始まる頃…
彗の携帯が鳴った


「んー、どーした?」


彗が電話に出ると慌てたような声が聞こえてきた
なんだろ…?

しばらくすると、彗が電話を切って俺に向き直る


「未緒が腹痛でダウンしたって。今、保健室にいるんだって」


そんな話をしてると、劇監督の子が凄い勢いで走って来た


「見つけたっ!!小藤くん、助けて!!山内さんが倒れちゃって王子役が居なくなっちゃって、このままじゃ白雪姫が目を覚まさないー!!」


山内の代わりに…
ってことは、奈乃と接触できる


「小藤くん、王子やって!お願いっ!」


劇監督の子が頭を下げる
むしろ、俺が頭を下げたいくらいだ


「うん、いいよ」


こんなチャンスない
俺は快く引き受けた


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