私の唇はキス魔に持って行かれました

はっきり宣言して、龍宮の腕を離して会場へと歩き出す

悔しそうに下唇を噛む龍宮を残して


「カッコいいー!"俺が好きなのは奈乃だ"だって」


茶化すように俺の後を付いて来たのは彗だった


「…なんだよ。気付いてたんだろ?」

「気づいてたけど、あんなカッコいい宣言すると思わなかった」


ニヤニヤ笑う彗
この笑い方…山内とそっくり

俺が奈乃のファーストキスを奪った時に山内もこんな笑い方をしてた


「さっさと保健室行ったら?山内、腹痛でダウンしたんだろ?」

「そだね。…たぶん、仮病だけどね」


え、仮病?
なんで、そんな………

…まさか…


「…俺のため?」

「たぶんね。…まぁ、未緒がくれたチャンスを無駄にしないようにね!俺は、保健室行ってくるよ。頑張れ王子様」


そう言って彗は保健室へと向かって行った

山内がくれたチャンス…
無駄になんかしない…




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