片想いだったね



「……野球頑張ってるね。」


少し離れて私が言う。私も少しだけ歩いたけど、まだ戻らないように少しずつしか動きたくなかった。


「……うん。」

「楽しい?」

「面白いよ。」

「…そっか。」















「……楽器楽しい?」

「………っ。」




岬ッチ、私が吹奏楽部にいたの知ってたんだ。

私、ずっと、ずっとね、

部室から岬ッチがいる野球部見てたよ。

私、ずっとね。






岬ッチ見てたよ。


涙目になったのはもう隠せない。寒いからなんて理由は使えない。






「楽しいよ。」



岬ッチがきっかけだから。


言いたいけど、言えないから。


嬉しいのに、胸が痛いよ。






< 141 / 463 >

この作品をシェア

pagetop