片想いだったね
「……野球頑張ってるね。」
少し離れて私が言う。私も少しだけ歩いたけど、まだ戻らないように少しずつしか動きたくなかった。
「……うん。」
「楽しい?」
「面白いよ。」
「…そっか。」
「……楽器楽しい?」
「………っ。」
岬ッチ、私が吹奏楽部にいたの知ってたんだ。
私、ずっと、ずっとね、
部室から岬ッチがいる野球部見てたよ。
私、ずっとね。
岬ッチ見てたよ。
涙目になったのはもう隠せない。寒いからなんて理由は使えない。
「楽しいよ。」
岬ッチがきっかけだから。
言いたいけど、言えないから。
嬉しいのに、胸が痛いよ。