片想いだったね


私の家までまだまだ着かない。


本当はまだ着かないこの距離が嬉しくて仕方なかった。


この川原の道を真っ直ぐ。


橋を越えて国道に出る。


国道から入る海側の道から帰ろうと誘うつもりだった。







この自転車に乗っていることが惨めに思えてきた。




「……翼、ここでいいよ。」

「なんで~?」

「いや、なんか悪くなってきたから。」

「…………。」



そう言っても翼の足は止まることはしなかった。



「美紀の好きな人は誰~?」

「えっ……?」





教えないと降ろさないからと翼はわざとにジグザグ運転をして、バランスを取る身体が響いて痛い。


「痛いって~っ!!」

「言わないと手放しで運転しますけど~。」

「絶対転ぶからっ!!」


これ以上傷を作るのは勘弁だ。





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