片想いだったね
「岬ー!ヤル気あんのかコラっ!」
「あります!お願いしますっ!!」
放課後になってもまだ気温が下がらない。
外はもっと暑いだろうなと、窓を全部開けている部室ですら今日は暑い。
今日は風無いな。野球部大丈夫かな。
窓を全部開けていると、第二グラウンドが真横にあるので野球部の声が部室に全部入ってくる。
岬ッチ暑そう…。
倒れないでね…。
心の中で何度も呟く。
大きな声で応援出来たら良いのに。
岬ッチ頑張れって、応援出来たら良いのに。
窓際の席でトロンボーンを持って、特に練習する曲が無いので今まで吹いてきた曲を、スライドさせて吹いていく。
三年生は引退したので、教えてくれる人はもう誰もいない。
だけど確実に上達した自分のこの音色が、岬ッチへの応援だよ。
大きな音で吹くから
どうか聴こえますように。