片想いだったね
「帰るか~。仕方ないから送ってくわ。」
「一人で帰って襲われたらどうすんのさ。」
「俺がぶっ飛ばしてやるよ~。」
翼との二人乗りはあれから数えきれない程何度も乗っている。
女座りなんてもうしない。
股を広げて翼の腰に抱きつく。
私と翼の距離は縮んでいる。
だけど本当に縮んで欲しいのは別の人。
逃げてしまえば楽なのだ。
お互い忘れる為に慰め合うことも本当は悪くないのかもしれない。
だけど翼の背中には、もうときめかない。
ドキドキをした事もあるあの頃より、強くなってきたから。
「……重い~。」
「失礼だよっ!」
きっと翼も同じだと思う。