片想いだったね
目と鼻の先の距離。
いくら真横にある通路も建物の作りで、通路の岬ッチ達を少し上から見下ろす角度で
「………岬ッチ。」
と、肩から息をしているくらい緊張する声で岬ッチに声をかけた。
三~四人でいた男子達は、全員私の顔を見て更に緊張してまた逃げ出したくなる衝動に襲われたが、
窓の縁をグッと握って堪えた。
しゅうちゃんが「高木だ。」と外側を歩いていた岬ッチを、通路側に引っ張ってくれて、しゅうちゃんの優しさに感動する。
「俺ら先行って着替えてくるわ。」
と、しゅうちゃんが岬ッチに声をかけて、他の男子は私と岬ッチをニヤニヤしながらヒューっとからかって居なくなった。
岬ッチの顔を窓越しで見る。
いつもそんな変わらない表情。クールだよねと周りも言っていたし、私もそう思っていた。
岬ッチは、声をかけたが中々喋らない私に完全に困っていた。
「………なに?」
岬ッチが私に話しかけてくれた。
言わなきゃ。逃げるのはもうダメだよね。