片想いだったね


「あ、美紀いた!先に行くなら声かけてよ~!探しちゃったよ!」


まっすが部室に入って私のところにくる。


「あ~疲れた。」

「………………。」

「美紀?」

「………………。」






窓際で下を向いて、床に雫をポツポツ落とす私にまっすは驚く。


「どうしたの?」


部室には同級生や後輩もいる。わかっているのに涙は堪えられない。



沢先輩のようにはなれない。


あんな風に皆が羨むような恋人にはなれない。



まっす達のようになれない。


あんな風に仲良く出来ない。



みほちゃんのようになれない。


あんな風に楽しそうに岬ッチと一緒にいられない。



何も出来ない。



何も出来ない…。



翼の言った通りだよ。


悲劇のヒロインぶっても岬ッチには届かない。





ヒロインですらなれない。



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