片想いだったね
「……………………っ。」
「………………………。」
傘が濡れた地面にポツンと転がる。
暗く重い雲が空に広がり、強い雨、川の水が溢れそうな程の川原の視界だったハズなのに。
目の前にいるのは岬ッチの顔。
濡れている身体を抱き締められる。
傘を差していたハズの二人が、いつのまにか雨に打たれ、流す涙なのか雨なのかわからなくなる。
わからなくなるのは、
岬ッチと私が唇を重ねていること。
初めてのキスは、愛しくて嬉しいものだと思っていた。
罪を償うような、苦しくて切ないものだと思いたくない。
岬ッチの唇は冷たくて、
胸が苦しい…………。
中途半端な優しさで、私を苦しめないで。