片想いだったね







「……………………っ。」


「………………………。」








傘が濡れた地面にポツンと転がる。


暗く重い雲が空に広がり、強い雨、川の水が溢れそうな程の川原の視界だったハズなのに。


目の前にいるのは岬ッチの顔。


濡れている身体を抱き締められる。




傘を差していたハズの二人が、いつのまにか雨に打たれ、流す涙なのか雨なのかわからなくなる。


わからなくなるのは、


岬ッチと私が唇を重ねていること。





初めてのキスは、愛しくて嬉しいものだと思っていた。


罪を償うような、苦しくて切ないものだと思いたくない。



岬ッチの唇は冷たくて、







胸が苦しい…………。







中途半端な優しさで、私を苦しめないで。







< 410 / 463 >

この作品をシェア

pagetop