片想いだったね



「卒業証書、高木美紀。」


「はい。」









校長先生からおめでとうと卒業証書を手渡しされて、お辞儀する。



今日は卒業式。



吹奏楽部の演奏で体育館に入場したが、入場した時点で私は後輩達の演奏で号泣する始末。



さすがのまっすも早いからと突っ込みを入れて、翼は私の泣き顔に大爆笑していた。



わかってはいるが、涙が止まらない。



私は今まであの場所で見送る立場だったのが、見送られる立場になったのだと後輩の演奏で思わず感極まる。



お世辞にも完璧と言えない吹奏楽部の演奏。



だけど放課後必死に練習する部員達の音色はいつも聴こえていた。



練習したね、頑張ったね、


ちゃんと伝わっているよ。




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