記憶 ―砂漠の花―
9・黒幕 マルクの狙い
9・黒幕 マルクの狙い
アランの話では――、
マルクは元々、シオン国の王家に遣えるウィッチだった。
時は、まだカルラ母上がシオン国の王女だった頃。
彼の表向きは、真面目で温厚、人柄もよく…と先程のサザエルの話と何ら変わりない。
その裏で、容姿端麗を武器に毎夜数々の女性を説き伏せ、女性関係の悪い噂が影では耐えない男だった。
時に情報を集め、時に彼女達を利用し…。
「なんだか、アランみたいね?」
と、私の突っ込みが入った事は必然。
「いや…アランの場合は、表も裏も後者だろ。」
というアズの突っ込みに皆で納得。
「おい…俺のイメージはそんなに悪いのかっ!?」
「「………。」」
――話を戻そう。
マルクの標的が、
『たまにお目にかかれる可憐な王女様』
に向けられた。
王女をも手玉に取り、自分の意のままに操り、あわよくば国をも操ろうとしたのである。
やはり先程のサザエルの仮定の話に重ねると、一致してしまうのだ。
しかし、シオン国王女カルラは、その時すでにラルファ国王子という心に決めた人がいた。
父上の事だ。