記憶 ―砂漠の花―
リオンさんが前に座るアズのカップに酒を注ぐ。
「リオンさん、俺も~っ!」
はいはい、と笑みを溢しアランのカップにも順番に。
そうなれば必然的に回ってくる私の番。
「アイリさんは?」
固まる私。
そういえば先程から体温が高い気がする。
「あちゃ~…。アイリのカップも酒だったんだ…。」
アズが自分の額に手を当て、半笑いを浮かべる。
「飲めない人だった?成人は全員しているだろうし、と思って…。」
リオンさんは答えない私の代わりにアズを見た。
まずかった?と心配そう。
アズは、横から手の甲で私の頬に触れる。
「一杯だけなら大丈夫かな?成人はしてますけど、普段から弱いからあまり飲ませてないんです…。」
話に夢中で気付かなかった、と謝った。
「アイリは、酔うとどうなっちゃうのかな~?」
同じく酔い気味のアランが私の顔を覗き込む。
私はアランの顔を避けるように、アズの肩に崩れた。
自分の体のバランスをうまく保てない事に気付く。
その様子を見ていたアズが、
「キース後の事任せていいか?」
と、私の肩を起こしながら聞いた。
「あぁ、詳しくはまた明日にでも…。」
アズはキースに頷き返した。