記憶 ―砂漠の花―
体が熱い。
特に顔が熱い…。
アズは普段からアランみたいには、おしゃべりじゃない。
どちらかと言えば、本当は無口に近い。
真面目で、何に対しても一生懸命で誠実。
毅然とした次期国王としての振る舞いが目立ち、自分の弱い所は本当に気を許した者にしか見せない。
人に優しく自分に厳しく、という言葉を連想させられる。
しかし、それは皆に向けられた表向きのアズ。
「ちょっと充電…」
「ひゃ…!」
アズは私の体を自分の胸に引き寄せると、そのまま後ろへ重心を移し、私を包んだままベッドに倒れる。
「ちょっと~!なにするの~?びっくりするじゃん!」
私は、舌のあまり回らなくなった口を尖らせると、目の前にあるアズの胸板をバシンと叩いた。
痛い…と呟くと、ぎゅっと私を包む腕に力を入れて身動きの自由を奪った。
頭の上から、低めの甘い声が吐息と共におりてくる。
「大人しく充電させて?」
「えぇ…?」
恥ずかしくて、離れようともがく私に掛けられる声。
「抵抗されると…、余計に燃えて自制が効かなくなる…よ?」
私の胸はドクンと高鳴り苦しくなる。
自然と抵抗も止まる。