記憶 ―砂漠の花―


ピシッと机を叩くと、マギーは真っ直ぐに私を見据えてこう続けた。


「あなたのお父上は大変立派な方なのです!あなたにも、しっっかりとお勉強していただきますからね!」


手を動かせ、とパシパシと机を二回叩いた。

「……わぁ…」

お婆ちゃんっ、
私の手を止めさせてたのは自分じゃんっ!と突っ込み入れたくなるのはやまやまですが…、

ここは一つ私が大人になりましょう。





この国の歴史の話は、何度となく聞いている。

曲がりなりにも「王女」という立場上、しつこく聞かされて育った。


前国王がウィッチ狩りをした。
その時点で平和は失われた。

父上は前国王を憎んだという。


そして、父上が国王となり廃止を命じてからも、生き残ったウィッチを人々は殺めた。

人々の意思は、
簡単には止まらなかった、
鎮まらなかったのだと聞いている。


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