記憶 ―砂漠の花―
…キース…?
確かに、
私の極論はそうだった。
私は、その時その場にいちゃいけないと思う。
父上やアズは良くとも、カルラさんや本当の妹アイリにとっては、良い存在とはいえない。
アズがゆっくりと、しっかりとした口調で話始める。
「俺は…。俺の理想は妹を連れて帰り、アイリには俺の妻になってもらう事だ…。アイリ以外の女など妻にする気は元々ない。」
……え…?
私の胸が、
ドクドクと大きく高鳴る。
「仮に…アイリにその気がないにしろ、俺はアイリから離れる気は全くない!」
…ぁ…
誰かに、
言って欲しかった言葉。
ここに居てもいいんだよ、と。
それは誰でもない、アズにだからこそ言って欲しかった言葉。
「例え、それがアイリにとって迷惑な話でも…。俺の気持ちはもう押さえられないんだ…。」
…迷惑?
迷惑だなんて思うはずがない。
胸から喉の奥を通って、
どんどんと込み上げてくるのは、切なさ――?
…この感情は、
家族としての感情なの?
――違う…。
私は、アズが好き…
多分…、
ずっと前から好きだった。