記憶 ―砂漠の花―
翌朝――、
馬達の鳴き声で目を覚ますと、居間にはタビしかいなかった。
タビの案内で、水浴びと着替えを済ますと家のテラスに向かう。
そこで皆と合流し、遅めの朝食にありつく。
昨晩遅くに帰ったのか、眠たげな先生に『封印』と『解除』を伝授してもらう。
――『封印』
私の髪の色が黒から金色に。
瞳の色は青から緑へ。
赤い魔力は、私の姿をそう変えた後、私の体の中心へと集まっていく。
ざわざわ…
そう波打つ魔力が…中心、
『心臓』に閉じ籠った。
「……わぁ…」
ずっと、付き合ってきた力。
閉じ込める事が、出来たなんて…。
自分の姿を確認したわけではないので、自分がどう変わってしまったのか不安がある。
ミャァ~、とタビがすり寄ってくる。
「おぉ…随分印象が変わるもんだなぁ。」
「私の時もこんなに違うのか?」
「そりゃ違うが…女の子だから特になのかな…。」
キースと先生が会話する中、私が気になるのはアズの反応だった。
「………」
アズは私を見つめたまま、何も言わない。
「アズ…?へ、変…?」
「――いや!…そのっ。なんか緊張する…」
しどろもどろにそう言うアズを見て皆が笑った。