記憶 ―砂漠の花―
力を『封印』している状態ですら、明らかにそう感じた。
きっと、この場にいる誰もがそう疑っているに違いない。
先生が、それを察したのか急に話題を変えた。
「アイリさん、『解除』の要領も大丈夫だね?」
「…は…はい。」
「じゃあ、そのまま今の状態で行こう。基本的には私が『解除』しておくから、君はいざという時の切り札になってほしい。」
「私が、…切り札ですか?」
突然の先生の提案に、私は目を見開いて驚いた。
「タビの昨夜の話からすると、私は顔が割れている可能性もあるかもしれないからね?」
「でも私自信ない。そんなすごい力を持っているとは思えないし…」
首と手を横に振りながら弱音を吐く私。
本当に自信がないのだ。
先生みたいに、地下道を作ったり街を作ったり、他の人に力を使ったりなんて、全くと言って良い程に実践経験がない。
「大丈夫だよ。ただ…、その際に力を自分で押さえないでくれないか。」
「押さえる…?」
「無意識なのか…?」
「…?」
「そうか…」
きょとんと、
先生を見つめるばかりの私。