記憶 ―砂漠の花―
「小さい頃からの習慣、クセ…だろうな。アイリさんの魔力自体は私なんかより遥かに大きいのだよ…?」
先生が優しく説明し出した。
マギーも昔からそんな事を言ってはいたけれど、私自身その自覚はない。
先生曰く、
幼い頃からラルファで魔術を使わない環境に慣れ、自らがウィッチである事に、自分が周りと違う事に自分を殺してきた私は、力に蓋をしているのだという。
マギーの魔術の授業などで使用してきた最小限の力のみが表立っており、それ以上の普段必要ない力は、無意識に『封印』されている。
体の成長とともに大きくなっていった魔力は、私の血の中で眠っているのだ、と…。
「そ…そんな…。そうなの…?」
半信半疑の私は自分の両手を見つめ、自分の右の手のひらを胸に当てた。
先生は確信があるようで、その様子を穏やかな顔で見ていた。
アズもキースも自分達には理解し辛い内容だろうに、先生が言うのであればその通りなのだろうと、驚きの顔は見せながらも素直に納得して頷いていた。
「まずは、ちゃんと自覚をして、徐々に『解除』しなさい。」
「はい…」