記憶 ―砂漠の花―
「…急に全てを『解除』すれば、今までの魔力との差に、自分を失う危険もあるかもしれない…。」
「はい…。」
ずっと引っ掛かっていたマギーの言葉が、再び心を過る。
マギーは、知っていたの?
どうして…
言ってくれなかったの?
『解除』状態から徐々に自分の力を解放していく、か…。
自分の力を、これ程まで不安に思った事はない。
私の中に燻る『赤い魔力』。
いつもより恐ろしく感じた。
「アイリさんの赤色は、特に…」
「…?」
「…いや…」
先生は、そう言葉を濁した。