記憶 ―砂漠の花―
13・囚われのリフィル

13・囚われのリフィル



私たちは移動し、サイル本島のスラムと化した城下町の外れの空き家に身を潜めていた。


「まずい。やはり見つかったか。」

先生が蜘蛛の巣と埃にまみれた窓の隅から、外を覗いて冷静に呟く。


私たちは地下都市サザエルの先生の部屋から、瞬間移動をしてこの町へ入った。
その際に生じた先生の魔力を感知されたらしい。

外には敵が迫っている様子だ。


ゴザから地下都市サザエルに移動する際にも、瞬間移動を使えば良かったのでは?と思うところだが…。
これも防犯上、先生の部屋から外へは出られても、外から地下へは移動出来ない作りにしてあるらしい。


「何人だ…?」

静かに周囲を警戒しながらキースが聞いた。

緊張が走る。


「姿はないが、気配ではこの家の周囲に5人といったところか…。いや、6人…だんだん増えているな。いずれもウィッチだ。」

「…どうする?」

『封印』している私には全く気配は感じ取れない。
状況を察知出来ない、初めてのもどかしさと不安が襲う。


「…まだ人物の特定は出来ていないだろうから、今、事を荒立てるのは避けたいな。自分から名乗るようなものだ…。」

「奴等は偵察か。」
「あぁ…。」

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