記憶 ―砂漠の花―
耳につく大きな音と共に、粉々に舞うガラスの破片。
「家に張っていたバリアが解かれた。…来るぞっ?!」
先生が腰元から剣を抜いた。
次の瞬間、
彼らは何の気配もなく、割れたガラスの散らばる窓際に立っていた。
ゴザでも見た、黒髪の青い上下の制服が2人。
こちらをじっと見据え警戒しながらも、1人が偉そうに口を開く。
「…ウィッチが1人、その他が3人か。お前たちの身分証明を出せ。」
アズの肩が私を隠すように前に来る。
その脇から先生を見ると、黙って様子を伺っている。
「…手荒な真似はしたくないが、通行証なしの町への侵入は罪!身分証明をっ!!」
男はそう声をあらげて言うと、手をこちらに向け構えた。
それを見て、もう1人の男が慌てて同様に構える。
それを見てキースとアズは半歩下がり気味に腰元の剣に手を掛ける。
先生の鋭い眼光。
「……お前ら、まさか奴隷か?」
先程から話す偉そうな奴が、さらに偉そうに蔑んだ。
そして、
手先から何かを発する。
――ジュウ……
と、脅しでわざと外したと思われる火の玉が、古い木の床を焦がしていた。
今の私の目では、全然と言っていい程に、彼らの行動が見えない。