記憶 ―砂漠の花―
それでも微動だにしない強い眼差しの私たちを見て、奴らは苛立っていた。
「いつまで黙っているつもりだ。この周囲は包囲されている!!」
「…そ、そうだ!」
沈黙を続けるのも厳しくなってきた頃、先生が静かに口を開く。
「奴隷…。彼らには全く関係がない。我らは反乱軍…!」
奴隷と肯定すれば彼らに連帯し危害が加わる、それを拒んでの言葉。
カッ…と、
先生の体が光った。
次に私の目に入ったのは、その場で崩れ落ちる2人の青い制服の姿だった。
「……え!?」
何が起こったのか分からない。
魔力を封印している私にとっては一瞬の出来事。
「…き…きさま…!ぐぅ…」
青服は、床から恨めしそうに先生を見ていた。
「安心しろ、眠るだけだ…」
気を失う男の後ろで、もう一人の気弱そうな男が薄れかけた意識を懸命に保ちながら、先生の足を目指して床を這う。
私たちは静かに奴を目で追った。
「…その…緑…反乱軍…、…リオン…様?」
「………」
ガシッと力を込めて先生の足は掴まれ、その振動で体が一瞬揺れた。
「…リオン様…国を…救って…くださ…」
男の手から力が抜け、そのまま意識を失った。