記憶 ―砂漠の花―
ウィッチの中にも、この国が狂っていると感じていた人がいた。
いつかのキースの様に、葛藤しながら、苦しみながらも従うしかない人もいる。
この国は、悲しい…。
「先生…」
アズが、倒れた青服に熱い視線を送ったまま、そう呟いた。
「…行こう。次の奴らが来る。」
先生の瞳は悲しげに、でもそれ以上に、強く意志を宿して輝いていた。
「今、捕まるわけにはいかない。どうせ捕まるなら…」
先生は私たちに向かい歩を進め、皆の手のひらを集めた。
「城に…瞬間移動するぞ。」
「あぁ…!」
私たちは、強い思いを個々に秘めて頷いた。