記憶 ―砂漠の花―
リフィルさんは一瞬息を飲む。
「…だめです、だめです。もう遅いの。見つからない内に…早く!全て私が悪いのです!」
先生の両肩に手を置き、首を振る。
「貴女は利用されているだけなのでしょう?!」
キースも横から声をあらげた。
リフィルさんがキースの顔を見て絶句する。
「…キー…ス…なのですか…?」
「はい。」
彼女は細い体を震わせて、口を両手で押さえた。
大きな揺れる瞳からは、綺麗な涙が流れた。
「貴方は亡くなったとばかり…あぁキース…!」
先日の、先生の涙。
そして彼女の涙…。
キースが、どれほど彼らに信頼されていたのかが伺えた。
「…本当の事を教えてください。真実を!貴女が汚名を着せられていると!」
キースは両手で彼女の肩にそっと触れた。
「いいえ、いいえ…。私は利用されていると知りながらも…!私の弱い心が全てを招いたのです…!」
興奮し、その高い声で自分を否定する。
2人は必死に『真実を!』と唱えた。
私とアズは息を飲んでそれを見守り状況を吸収するしか出来ない。