記憶 ―砂漠の花―
「…リオン様?」
「リオン様!」
制服たちはざわざわとお互いに呟く。
先生は顔を背け黙っていた。
「ここは私が預かります。さぁ…あなたがたは去りなさい。」
マルクがそう言うと、彼らは名残惜しそうに視線を残したまま瞬間移動して消えた。
「…兵を帰して良かったのか?私はお前を倒しに来たのだぞ?」
先生が攻撃された肩を押さえながら、静かに言った。
私が肩の様子を見ようと近付くと、かすり傷だから大丈夫だ、離れていろと目で合図する。
「何の事をおっしゃっているのか、私には分かりませんが…?」
マルクは先生を見て微笑んだ。
「知らばっくれても無駄だ…!影で姉上を操っている事は分かっている。姉上が今倒れたのもお前の仕業だろう?マルク!!」
先生は今まで見た事がないほど、険しい顔をしていた。
マルクの余裕の表情は未だ変わらない。
「15年ぶりだと言うのに…、何をおっしゃるのです?」
「…!!その態度に今まで私は騙されていた。お前は国全体を騙し続けているのだな…!」
マルクは、やれやれと肩をすくめて笑う。
「さぁ、続きは中で聞きましょう?リフィル様を休ませましょう?」