記憶 ―砂漠の花―
マルクはリフィルさんをその腕に抱えながら、城の方へと歩き出す。
木の茂みを抜け、芝生を一歩二歩進むと私たちを振り返る。
なかなか動こうとしない私たちを見て、
「リオン様がそう思われているなら仕方ないですが、警戒しないでくださいね?」
と首を傾げる。
「城の談話室…ご存じですね?そこでお待ち下さい。リフィル様を休ませてから、私ひとりで伺いますから。」
そう言い残すと私たちの視界から消えた。
再び、瞬間移動したのだ。
「……え?何?この展開…」
私が耐えきれず沈黙を破った。
マルクが黒幕なはずなのに、
私たちに敵意を向けたのは、青服たちだけだった。
マルクは、自ら城の談話室へと招き入れた。
拍子抜けだ…。
「キースに気付かなかったな?」
アズがキースを見た。
難しい顔をしたキース。
明らかに困惑している。
「全然、昔と変わらないな、あの態度…。リオン、どうする?」
「罠を覚悟で行くしかないだろうな…。明らかに知らばっくれている!問い詰める!」
私は頷きながら、ある事を思い出す。
「…アランは?」
「そうだ、話し合いの結果は?俺たちが行って万が一…」