記憶 ―砂漠の花―
「お前たち、名前を名乗るな?」
私とアズの疑問にはキースが答えた。
すなわち、アランを待たずに行くしかないのだと…。
かつての敵国サザエル。
多分、姿を見ても分からないだろうが、アズや妹アイリの名前は知れているだろう。
「君たちは、黙っていればいい。母上の事も、私に委ねてくれ。」
「はい。」
私たちはそう頷くと、城へ向かって歩き出す。
それぞれに不安を抱いて…。
マルクの仮面を剥がす事が出来るのか。
リフィルさんの状況は?
私たちも、今までの様には、無事では済まないかもしれない。
いざという時は、
私の魔力を『解除』する。
攻撃、防御、戦い…。
その瞬間を、
私は恐れていた。