記憶 ―砂漠の花―
過去、キースの母を人質に取ったマルク…。
今も尚、彼と同じ境遇の人がいたのだ。
キースの表情も、自然と険しくなっていた。
先生が、今だとばかりに追い討ちをかける。
「姉上と…、ルリ島にいるカルラ様を返していただこう!!」
「――!!…ふふっ…」
カルラ、その名が出た瞬間、
マルクの仮面は剥がれた。
柔らかな笑顔が、意地の悪い笑みへと変わっていく。
その光景に、
…鳥肌が、立った。
「ふふ…、はははは…!そこまでご存じ!やはりあの黒猫ですか…?始末するべきでしたね。」
マルクが立ち上がった。
「リザ!他の者を連れてこの部屋を出なさい!」
先生が同じく立ち上がり指示した。
立ち上がった私たちの椅子が、後ろの石の床で大きな音を発てる。
緊迫した空気が、一瞬にして現れていた。
「…キース君、生きているとは思いませんでしたよ?」
「やはり気付いていたんだな!?」
「はっ…当たり前ですよ。リオン様、今まで貴方には苦労しましたよ?反乱軍の働きは多いに邪魔でした。」
そう話すマルクは、未だに余裕の表情を浮かべていた。