記憶 ―砂漠の花―

「奴隷を逃がす、武器の城への搬入の阻止…。隠れて、こそこそと…。」

「…あぁ。気にしてたか?」

先生は、冷静なマルクをわざと逆撫でる様に笑った。


「まぁそれは大した事じゃない…。一番厄介なのは、私が私の策の為に張った島の『バリア』を…!!貴方が張り替えた事!」


マルクが初めて興奮し、感情をあらわにする。


…バリア…?
あの島全体に張られた物は、
先生…?


「…?」

緊張する私たちの目が、先生とマルクを行き来する。


「敵の察知の為の物を、私がこの国の兵士やお前が他の国への侵略に出れぬよう作り替えた。それから城を出た!まさか、その時はお前が黒幕だとは夢にも思わなかったがな!」

「…えぇ、えぇ…。お陰様で!ラルファ侵略まで、あと少しというところで止められてしまいましたね!!その後シオン国まで吸収する私の策は凍結せざるを得なくなった!!」


緊迫する二人の会話に、私たちは付いていく事がやっとだ。
驚きの色を隠せない。


先生が…、
戦争を食い止めていたなんて…。

もし、先生がバリアを張り替えていなかったら、今のラルファは有り得ない事になる。
そして、シオンもまた同様だ。

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