記憶 ―砂漠の花―
私たちは何も声を掛けられず、ただ目を伏せた。
リフィルさんの心臓は、
奪われたまま…。
カルラさんまであと少しというところで、またマルクを追う形となってしまった。
マルクの城の場所を特定する事は、反乱軍の情報網を駆使すれば、きっと時間はかからない。
マルクの城へ踏み込む事は明白だが、奴もそれなりの準備をして望むだろう。
これ以上…、
どんな覚悟をすればいいのか…。
先生が、私たちを見た。
「私は姉上を運び、しばらく彼女に付いている…。君たちは、ルリ島に行きなさい!」
「…え?」
「ルリ島へは、鍵がないと行けないのでは!?」
そうアズが一歩前へ出た。
「…奴が知らなくて助かったよ…。」
先生はそう言うと、胸から服の上へ首飾りを取り出す。
外して手に取ると、首飾りに手をかざした。
光が放つ。
先生が魔力を使ったのだ。
マルクに気付かれない様に、首飾り本来の力は閉じ込めてあったのだろう。
首飾りをアズに投げ渡す。
まだ光で目が眩んでいたアズは、少し慌てながらも、しっかりと受け取った。
「2つ…あったのか…」
キースが目を丸くして呟いた。