記憶 ―砂漠の花―
そして、全員の強い…マルクに対する憎悪。
様々な想いが、この部屋には渦巻いている。
私…
以前の私に、ここまで感じ取る事が出来ていただろうか?
いや、それほど強い想いという事なのか…
「大丈夫か?アイリ…」
「……!」
声のした方を瞬時に見ると、アズの心配そうな顔が私を覗いていた。
「あ…大丈夫…」
自分の感覚の差に、固まってしまっていた。
「以前より赤色が濃い…。いや、深い…。『解除』の際に力を少し解放したようだね。」
「解放した…」
あぁ…
だから…、
この力が、恐い。
「…深い、赤…。その色は、やはり…」
先生が私を見つめ、
…いや、私の体から溢れる魔力を見据えて、難しい表情をしている。
なに…?
私は、不安な瞳で先生を見つめ返す。
先生は首を横に振った。
「…いや。さぁ、行ってきなさい。カルラ様の所に!」
先生はそう急かせた。
「開かずの間の場所は俺が知っている。行くぞ!」
キースが先陣を切る。
まただ…。
先生は、何か私に隠している。
私の、赤い魔力。
これが、何だと言うの?