記憶 ―砂漠の花―
「…ここか?」
アズがいち早く確認する。
…違う。
もっと、深い…
私の感覚が、大きな魔力の存在をとらえていた。
「いや、ここから地下室へ下りるぞ!」
そうキースが扉を開けた先には、下へと続く階段があった。
使用人たちも入るのを禁じられているのだろう。
他の場所とは異なり、清掃も行き届いていない。
少しうす暗い、埃臭い狭い階段を下りていく。
「…まだ下りるのか?」
アズが壁に手を当て、一歩一歩を確かめながら聞いた。
多分、
…もう少し…
「もう少しだ。焦るな、アズ。」
…やっぱり。
キースの言う通り、少し下りるとひらけた場所に出た。
石畳の床、半円形の広い部屋。
目の前には3方向に、それぞれ扉がある。
「どれだ?どの扉が開かずの間なんだ?」
「ここまでは知っているんだが…、どれかは分からない。」
「開けてみるしかないか…」
アズが諦めて左へ行きかけた。
城の地下、3つの部屋。
どれも重要な役割を持つ部屋ではあると思うが…
3つの扉の中で、
一番力を放っているのは…、
「……真ん中だよ。」
私は迷わず正面へ進んだ。
この感覚に、
もう迷いはなかった。