記憶 ―砂漠の花―
主人の違う、いくつもの魔力が重なり合う。
そんな厳格な雰囲気に、思わず尻込みしてしまう。
アズとキースは、私を不思議そうに見つめながら、様子を伺っていた。
一歩一歩…、
魔方陣へと進むが、青色の魔力の壁に阻まれた。
「…!!…拒まれた…。アズ、首飾りを貸して…!」
私は、それを手のひらで受け取る。
先生の魔力が未だに残る、銀色の首飾り。
柔らかな緑色の光の下からは、青い光が漏れていた。
それを慎重に胸にかけると、二人の手を取った。
「ぜっったいに、離さないで?」
いつになく慎重な行動の私に、彼らも無言で唾を飲んだ。
そして、
魔方陣の中へと入る。
今、少しでも彼らの手が離れれば、彼らは外へ弾き飛ばされるだろう。
私の手にも自然と力が入り、震えていた。
「…じゃあ、行くよ?いい?多分凄い眩しくなるから、目は閉じていてね。」
左右に首を動かし二人に確認する。
ドクドクと…、
私たちの高まる鼓動が重なり合っていた。
一つ大きく呼吸をして、自分の心を鎮めた。
私は、目を伏せる。
全神経を、
自らの鼓動に、
血に、
魔力に…
集中させた。