記憶 ―砂漠の花―
――ドクンッ…
心臓が、
まるで全身にあるようだ。
私の血…、力、
やっぱり先生が首を捻っていた通り、濃くなっているかもしれない…。
今まで以上に、
私の体が震えていた。
鳥肌では済まない。
血が騒ぐ、という表現では済まない。
『暴れている』――
首飾りからも、私と違う魔力を感じる。
大きな力…。
床から足が離れ、宙に浮いた。
ビクッと、手を繋ぐ二人の体が反応した。
宙に浮くという事に戸惑っているのだろう。
通常の瞬間移動でも、一応は宙に浮くのだが、多分二人にとっては一瞬の事なので分からないのだ。
今回は、条件の多い異例の瞬間移動。
浮いている時間も明らかに長かった。
私を包む赤い魔力。
そんな私ごと、
青い魔力は、下から上へと波の様に、三人に覆い被さろうとしていた。
私の赤い魔力が、青い魔力に立ち向かい、飲み込まれまいと抵抗する。
…だめ。
きっと、違う…。
この青い光の波に、
飲み込まれて、いいんだ。
私はさらに大きくなろうとする自分の光を、小さく止めるのに必死だった。
青い光に、
飲み込まれていく―――