記憶 ―砂漠の花―
閉塞した石畳の部屋、
魔力の光の渦。
一瞬、世界が揺らめいて歪む。
圧迫感から解放されると、
そこには、
清々しい光景が広がっていた。
海風が通り抜け、私の髪を揺らした。
浜に押し寄せる波の音。
太陽が海面を照らし、きらきらと輝いていた。
「…本当に着いた…。隠された島、…ぐゎっ!何!?」
砂地に足が着くと同時に、急に両手が下へと引っ張られる。
その力の強さに、その場で尻餅をついてしまった。
二人が砂地へと倒れ込んだからだった。
「…え?えぇ?大丈夫?」
私の声に反応しない。
バランスを崩して、というわけではなさそうだ。
完全に意識がない。
「――…!?」
無意識にしっかりと固く繋がれている両手を、私は必死ではがし、彼らの頬を叩く。
二人の体を揺さぶる。
反応が、…ない。
「えぇッ!?嫌だッ、ちょっとぉ……」
あれだけの魔力を浴びたのだ。
通常の瞬間移動とは確かに桁が違う。
ウィッチ以外には体に悪影響なのか。
まさか、
そのショックで?
嫌な予感に胸がざわめく。
心臓は…
――動いている。
気を失っているだけの様だ。
「アズぅ~…、キースぅ~!起きてーッ……」